原発事故処理費用と電気料金、核のゴミについて
首都圏に電気を供給する原発はおよそ200km以上離れたところにあります。
原理原則論からすれば首都圏で使用する電気であれば、
首都圏に原発を設置するべきだどいう意見もあります。
貧乏な地方自治体に交付金というニンジンを鼻先にちらつかせ
原発を誘致させた結果、私は「電気を使う人」、
あなたは「原発で電気を作る人」、という構図ができました。
言い換えれば「安全な首都圏」で電気を使い
「危険な原発」は地方に・・・です。
現在130万本に増えている使用済みの
「核のゴミ」最終処分地も大きな問題です。
核のゴミをいつまでトイレの無いマンションの状態にしておくのか。
そして、今の原発はやがて次々と廃炉の期限が到来します。
年数のかかる廃炉。
年数ばかりでなく廃炉技術は未完成なのです。
チェルノブイリでは石棺で覆ってしまいました。
チェルノブイリ原発事故直後 Source:realwave.blog70.fc2.com
水素爆発で破壊された福島第一原発
小型無人飛行機で2011年3月24日に撮影された原発3号機と4号機
Source: http://photos.oregonlive.com/
メルトダウンした福島原発の核燃料の回収技術も
手探り状態を余儀なくされます。
チェルノブイリ原発と同じように石棺で覆うしかないでしょう。
石棺とはいえ寿命があり30年前後で再施工を余儀なくされます。
多大な廃炉費用の問題・・・
ここで諸費用の問題について、
原発の建設コストは一基当たり3000~4000億円位。
電気料金から見たコストは1キロワットアワーあたり19円。
税金まで含めると21円となります。
水素爆発で損傷した3号機、小型無人飛行機で2011年3月24日に撮影された。
Source: http://photos.oregonlive.com/
原発関連の費用では福島原発事故処理も悩ましい問題です。
原発の事故処理や廃炉の人件費や
諸経費プラス避難、除染、損害賠償等で約20兆円位。
また、農業、漁業、商業、工業等に対する補償などで年に2兆5千億円、
廃炉が20年間かかるとして約100兆円にもなります。
これは物価上昇など考慮しない金額です。
先程1キロワットアワーあたり21円と記しましたが、これら事故処理費用を
加味すれば40円位になるのですが、火力発電の約2倍です。
原発に頼らないと輸入する火力発電燃料費がアップし、
電気料金の値上げにつながりますという意見があります。
2013年度の火力発電燃料費は
前年と比較し3兆6千億円増加しました。
金額で比較すれば確かに増えていますが
輸入量はあまり変化していないのです。
原因は円安にあったのです。
渋滞する東名高速上り車線15日午後3時 静岡県裾野市(東京新聞)
Source: http://blog.livedoor.jp/
2014年2月14日、各地に観測史上1位を記録した
大雪の日の電力消費はピークの94%に収まったという。
原発が全基停止している状態で94%です。
無駄な電気を使わず、あと5%節電すれば
89%に収まり原発に頼らなくても済みそうです。
火力発電の約2倍の電気料金という費用には
含まれない2つの事案があります。
一つ目は
福島の森林の除染です。
作業のしやすい住宅地や田畑と違い
大変な困難な作業になるのは確実です。
誰も経験していないので予算の見積もりなど出来ないでしょう。
出来高払いだと予算はうなぎのぼりです。
避難している子供を持つ家庭では
森林の除染が完了しなければ帰還しないという。
避難生活が長引けば別の問題があります。
被災者への賠償も徐々に打ち切られていくようです。
森林の除染が完了する頃には子供は成人になっているかもしれません。
2つ目は
核燃料サイクルで、ドブに捨てる様に使う費用です。
福井県敦賀市 原型炉「もんじゅ」
Source: http://21432839.at.webry.info/
福井県敦賀市の「高速増殖炉もんじゅ」は
建設予算6000億円ですが・・・
見通しの甘さから現在まで1兆810億円も使い
1日5500万円もの金食い虫状態です。
青森県六ケ所再処理工場
Source:http://21432839.at.webry.info/
青森県六ケ所再処理工場の建設費は
2011年2月までに2兆1930億円で
原発1基の建設費が約4000億円とすれば5基分になります。
建設費も含め累計で何兆円も使って実用化の目途が立たず、
まだまだ予算を食いつぶします。
進むも地獄、退くのも地獄の状態です。
また、「核のゴミ」の最終処分地がいまだに決められません。
決まりません。
何処も必ず反対します。
何処も交付金で釣られません。
政府も経産省も努力しているポーズはとりますが
「何年たっても決まりませんよ」というのが本音。
最終処分地の問題は延々と先送りの状態です。
いつまでも国の借金みたいに先送りして孫子の代に処置を押し付ける
事態になるのでしょうか。
最後に
被爆者医師の肥田舜太郎氏(97)のコメントです。(毎日新聞朝刊02/19/2014)
「被爆国で地震の多いこの国が、原発を50数基もつくったことが間違いだった。
もう一か所どこかで原発事故が起きれば日本は滅びてしまう」
「核兵器も原発も人間の知恵では制御できない恐ろしい物。孫子の為にも、
残さない努力を、運動を続けなければいけない」
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